史上最高値を更新し続けるS&P500、目先は調整か?トランプ発言の動向にも注視 | 岡元兵八郎の米国株マスターへの道 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

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景気後退懸念が一時後退、投資家心理を下支え

先週(6月30日週)、米国株式市場は独立記念日を挟む短縮取引のなかで、主要指数が相次いで史上最高値を更新、S&P500は6279.35ポイント、ナスダック100は22866.97ドルに到達しました。

こうした強い動きの背景には、AI関連企業の力強い上げと、依然として底堅さを見せる米国経済があります。6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が14.7万人増と市場予想を上回り、失業率も4.1%と低下しました。これにより「景気後退懸念」が一時後退し、投資家心理の下支えとなりました。

一方で、金利の先行きについてはやや複雑な反応が見られます。雇用の強さは利下げ期待を後退させ、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ確率は93%から67%に急落しました。しかし、今のマーケットは「景気が強いから利下げの必要性が薄れている」という前向きな解釈をしているようです。

テック主導でエヌビディア[NVDA]は史上最高値を更新、エネルギーセクターも健闘

先週(6月30日週)、週間で最も好調だったセクターは、やはりテクノロジー分野でした。S&P500テクノロジー指数は+2.44%と上昇し、大型株ではアップル[AAPL]が6.2%、半導体製造値のアプライド・マテリアルズ[AMAT]は4.28%上昇、 ケーエルエー・コーポレーション[KLAC]も3.9%上昇となっています。

先週の株価の上げ幅は1%であったものの、世界最大の時価総額を誇るエヌビディア[NVDA]は、7月3日に史上最高値を更新し引けました。時価総額4兆ドルまで残りあと2.9%に迫っています。

また、エネルギーセクターも+2.09%と堅調で、原油価格の安定や夏季の需要増加期待が下支え要因となっています。一方、最もパフォーマンスが悪かったのはヘルスケアセクターで、政策リスクを嫌気して米医療保険大手のセンティーン[CNC]が38.3%の下落を記録しました。

米雇用統計の結果により利下げ期待に冷や水

7月3日(現地)に発表された6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比14.7万人増と、予想(11.7万人増)を大きく上回る結果となりました。失業率も前回の4.2%から4.1%へと低下し、労働市場の堅調さが再確認されました。

これにより、7月FOMCでの利下げの可能性は一気に後退し、9月利下げの織り込みも93.7%から67.6%へと急低下しました。FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は「データ次第」と繰り返していますが、先週(6月30日週)開催されたECBフォーラムではラガルド総裁らからの支持も得ており、その慎重姿勢に一定の説得力が備わってきています。

ただし、足元のマクロ経済にはばらつきも見られます。ISM製造業景況指数は好結果となりましたが、新規受注や雇用の構成要素は弱含みました。また、ADPの民間雇用統計は3.3万人減となりました。

また、トランプ政権下で再燃している「関税交渉」もマーケットの注目を集めました。米国はベトナムとの間で関税率を46%から20%へ引き下げる合意に達しましたが、中国部品を含む製品には最大40%の追加関税がかかる可能性もあり、アパレルや家具などの輸入企業にとってはリスク要因となります。

再燃する関税リスクと7月相場の季節性、カギを握るのはトランプ発言

トランプ米大統領は、「7月5日より、関税交渉が進展しない各国に対して、新たな関税率を記載した『通告文書(レター)』を送付する」と表明しました。この文書には、8月1日から発動予定の具体的な関税水準が記されており、まずは10~12ヶ国に送付され、今後数日間で対象はさらに広がる見通しです。

日本が初回対象に含まれているかは明示されていないものの、英国BBCの報道などからは、可能性の高さが示唆されています。その根拠として、

1.日本との貿易協議(特に自動車や農産品)に目立った進展が見られないこと

2.EU・中国と並んで、日本の名が繰り返しトランプ氏の口から挙がっていること

3.日本のコメ市場や自動車規制について、トランプ氏が「不公正」と幾度も批判してきた過去

などが挙げられています。

7月9日の交渉期限が迫る中で、関税政策に対する不透明感が再び市場で意識され始める可能性があります。特に、4月に小幅な下落があった後、米国株は本格的な調整局面を経験していません。このような環境下では、トランプ米大統領による関税発言が、短期的な株価の押し下げ要因として作用するリスクは無視できません。

もっとも、米国市場の最大関心はあくまで中国との交渉動向に向いているのが現状です。仮に中国との協議に進展があれば、マーケットは日本やその他諸国との交渉についてはさほど反応しない可能性もあります。一方で、影響を受けやすいのはむしろ日本株市場のほうであると考えられます。

米国株の過去の統計を振り返ると、S&P500は1928年以降、年間平均で約3回の5%前後の下落、1回の10%程度の調整を経験してきました。したがって、今後、仮に一時的な調整があっても、それ自体は特段驚くようなことではありません。むしろ、調整局面はクオリティ銘柄を割安に仕込む好機と見るべきでしょう。

一方で、現在の市場には明確な上昇モメンタムが存在しており、波乱要因さえなければ、7月相場は上昇しやすい季節性も意識されます。実際、過去10年間においてS&P500は7月に9回上昇しており、勝率は90%、平均リターンは+2.9%と、他の月と比べても高い成績を誇ります。しかし、結局のところ、短期的な相場の方向性はトランプ米大統領の発言に大きく左右される構図は否めません。

今週(7月7日週)の焦点は関税とFOMC議事録

今週(7月7日週)の市場の注目点は、「関税交渉の期限」(7月9日)。合意に至らなければ市場のボラティリティが一段と高まる可能性があります。そして、「FOMC議事要旨」(7月10日)。FRBの金融政策スタンスや利下げタイミングへのヒントが注目されます。

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